実物盆栽に実を付ける その3 2007.07 3,剪定(切り込み) 一般に新芽が伸び出し葉が開けば同時に根も伸び出し、その樹の生長が進みます。その状態で剪定・切り込みなどによって枝を切られると、樹にとって必要な葉の数も減ることになり、それまでの樹勢が維持できなくなります。 そこで新たに新芽を伸ばし、葉の数を回復しようとします。実物盆栽の開花から結実期に枝の剪定・切り込みをすると同じように新芽を伸ばそうとするため、樹の生長と結実のバランスが変わり、枝の生長が優先され実を落としてしまいます。 この時期の切り込みは行わない方が良いでしょう。もし新芽が伸び過ぎる場合は新芽の先を摘んで生長を止めておく程度にしたいです。切り込みは実がとまってからが良いでしょう。 4,水ぎれ 開花期から結実期にかけて鉢中の水の少ない状態が続くと実はとまりません。水ぎれ状態に対し、樹は結実よりも葉の維持を優先するためです。実は大半が水分です。水分が実に供給されなければ実は落ちてしまいます。結実期の潅水は特に気を使います。 今回のテーマとは異なりますが、実がとまった後水ぎれさせると実は落ちませんが、水分が失われ梅干のように縮まります。水を加えれば時間と共に元に戻りますが、それを何度も繰り返していると秋実が色づく頃、本来の鮮やかな色づきになりません。実は多くの水分を必要とするため、実物盆栽の水ぎれはいつもまず実自身に影響が出ますので、常に多目の水やりを心がけた方が良いでしょう。 5,気象 一つは、開花期に花が受粉して実となるには一定の気温が必要だということです。一般に受粉に必要な気温は20〜25℃といわれています。逆に10℃以下ではほとんど受粉しません。開花期はやはり晴天で高温の日が続く方が実が付きやすいでしょう。天候不順の年はやはり実付きも悪くなります。 人工的に花粉付け作業を行う場合も、条件の良い日を選んで行いたいです。 もう一つは霜です。受粉期に花が霜にあたるとほとんど実になりません。また0℃以下に下がっても同様です。夕方気温の低い日は翌朝の霜や低温から花を守るため、開花中の盆栽は室内に取り込んでおきたいです。 |
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