夏場の水やり  2006.08

夏場の昼間水やりをすると葉がやけるから夕方までやらないと言う意見や、やっても大丈夫か?と言う問い合わせを受けます。いろいろな意見の中で、葉がやけると言う根拠は大きく3つあるようです。

1,夏は鉢の中の温度が上がるので、潅水した水がお湯になってしまう。
2,葉に付いた水が丸い水滴となり、レンズの作用をする。
3,潅水することで樹の周りの空気が高温多湿となり、葉が蒸れる。
以上3点ですが、その意見についてやや疑問があります。

1,について。確かに真夏の午後は鉢の中は50〜60度にもなり、潅水した水が鉢の底から抜ける時は手でも温かいお湯になっています。しかし潅水することで鉢の中の温度は確実に下がります。しかも水を含むことで気化熱が奪われ、その後の鉢の中の温度も上がりにくくなります。
2,について。潅水すれば丸い水滴が付きます。そしてレンズのように見えます。しかしレンズも焦点部でないとやける影響はありませんし、葉についた水滴が葉の上で焦点が合うか疑問です。
3,について。確かに潅水することで高温多湿になります。しかしそれがイコール蒸れる、につながるかは疑問です。実際は潅水前より周りの気温は下がるし、湿度が上がることで悪い影響があるとは考えにくいです。

当園では夏の暑い時間帯は、とにかく枝葉や鉢の中の温度を下げるために水やりを勧めています。特に雑木類は葉にもかけるように話しています。それによって葉のやけるような現象は起きていません。更にもう1点、夏の樹のために夕方の葉水をお勧めします(松柏類の葉の長さの調節の必要な樹は除いて)。暑かった1日、葉や鉢の中の温度を下げ、湿度も与えてやることで根や樹に生気が戻ります。自分自身を置き換えて考えても良いのではないでしょうか。

さまざまな方からお問い合せ等をいただきます。
今後はそれらのお答えについて、整理しながらこの樹づくり一口メモの欄でご紹介していきます。今回は夏場の潅水についてですが、この回答文については後日新たなページを設け、Q&Aコーナーとして収納していく予定です。

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